サイカクニン

  • vol.48/コンプレサー通信2019年10月号掲載

ショッピングセンターでのマジックショーがスタート、三十分の公演だ。

観客が少なくってがっくり。

そのお客様たちも、なぜか微妙な表情でこちらを見ている。

「今日は少なめのお客様ですね、途中で帰ると目立ちますよ」

軽く笑いをとりながらマジックを開始、どんどん人が増えていく。

ショーの終盤、満席になり盛り上がっているところに、お店のスタッフさんがあわてて近づいてきた。

「コンプさん、開始時間間違えてますよ!」

看板をみてビックリ、事前にメールで伝えられていた時間とちがっているではないか!

三十分早く開演していたのだ。そりゃスタートしたとき観客が少ないわけだ。

「皆様にご案内です。時間を間違えていたようです。まもなく、開演時間となります」

客席大爆笑。

このままいくと、開演時間に終わることになる。

でもそんなわけにはいかない、その時間に合わせて来てくれるお客様もいるからね。

「もちろん終わりませんよ、あと三時間は付き合ってもらいますよ!」

笑い声とともに大きな拍手が起こった。

ハプニングが味方となって、約一時間のショータイムを楽しく終えることができたのでした。

再確認しなかったことを反省しないとね。

トラブルは、どこに潜んでいるかわからないからねぇ。

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