道のりを楽しむ
- vol.22/コンプレサー通信2017年8月号掲載
五歳の娘が自転車に乗れるようになった。
親として特別な喜びを感じる節目だなぁ。
自由に乗り回すお友達に刺激されたのか、突然練習をしたいと言い出して、乗れるようになったのだ。
以前、何度か教えようとしたときは、すぐに嫌になってやめていたのにね。
無理に教えようとするよりも、ヤル気にさせることのほうが大切なんだよなぁ。
コンプさんが初めて自転車に乗れた時の事を今でも覚ている。
父が、自転車の後ろを、倒れないように押さえながら走ってくれた。
その安心感に支えられてこいでいく。
ずっと後ろで父の声が聞こえて、すでに手を放していることに気がついた。
自分一人でこいでいたのだ。
水たまりで転んで泥まみれになっても母は笑顔だったなぁ。
洗濯、大変なのにね。
ついつい忘れてしまうけど、誰かの支えがあって今があるんだよな。
早朝、娘と一緒にサイクリングに行くのが日課になった。
近くの河川敷コースがちょうどいい感じ。
ヘルメットをかぶって、すごく楽しそう。
夢中になってペダルをこいでいる。
今の娘にとって、行先なんてどうでもよくって、ただただ自転車をこぎ続けることが楽しいのだ。
大人になったら忘れがちな感覚だなぁ。
目的ばかりを意識して、そこに向かう道のりを楽しむことを忘れちゃうのね。
ボンヤリ、そんなことを考えていたら、娘がずっと遠くに行ってしまった。
まだ幼いと思っていたのにね。
成長の喜びと、過ぎ去った時間が、少しだけ気持ちをアンバランスにさせた。