客観的に見てみると
- vol.30/コンプレサー通信2018年4月号掲載
収録したコンプテレビの編集を。
ここまで自分のマジックを何度も観るのは初めてかも。
イメージしていた動きと違うなぁ。
つっこみどころ満載、なおさなくっちゃ。
だけどこれが現実、このまま仕上げよう。
客観的に観るって大切ね。
自分自身を、自分の目で見てみたいけど無理だよなぁ。
鏡でみたら左右逆だし、写真やビデオも立体を平面に置き換えた薄っぺらなものだしね。
体の一部だけなら見れるけど。
二十年ほど前、自分が知っている自分と、人から見た自分との違いについて考えるきっかけがあった。
高岡文化ホールで開催された夏のお笑いコンテストに漫談で挑戦した時のこと。
まだマジックに出会う前だったかな。
プロデューサーは、誰でも知っているテレビ番組を数多く手がけた先生。
無事予選を通過、本選前日のネタ見せで、驚きのアドバイスが。
「君はもっとキレなさい。怒りながら展開しなさい」
本番当日、戸惑いながらも素直に受けとめてやってみた。
ネタを振って、オチで切れたら見事に大爆笑。
客席から波のように押し寄せてくる満席七百名の笑い声。
そして、大きな賞をいただいた。
あの頃のコンプさんは、そんなにキレるのが似合う人間だったのかな。
たしかに、仕事もプライベートも乱れていた時期だったからね。
そういうのが見抜かれたのかも。
今のコンプさんだったら、どんなアドバイスがもらえるのかな。
自分が知っている自分と、人から見た自分との違い。
その差を、どこまで縮めることができるのかな。
その先にあるのが究極の自然体なのかも。
あぁ、編集作業を進めないと!
画面に映るコンプさんを見つめる。
なんだか、父親に似てきたなぁ。