富山県立高岡支援学校 創立60周年記念講演:「思い込み」の先には「いつも通り」の笑顔

富山県立高岡支援学校の創立60周年記念式典にて、記念講演!マジックショーをお届けしてまいりました。
初めて伺った高岡支援学校さん、校舎の中がすごく広くてびっくり。
小学校、中学校、高校の3つが一つになっていて、約250人の生徒さんたちと、150人ほどの大人の方々がいらっしゃるそうです。
中に入ってみると、賑やかで楽しい空間が広がっていました。生徒さんたちもみんな元気、すれ違うと明るく挨拶をしてくれる!そして自由な空間☆というのが率直な感想でした♪

校長先生との出会いと「子どもたちにマジックで何かを感じ取って欲しい」という思い

事前の打ち合わせでは、控室や会場の状況、音響機材などを確認させていただきました。校長室で色々とお話を伺う中で、校長先生から「コンプレッサーさんのラジオ、いつも聞いてますよ」という、なんともありがたい一言をいただきました。
日曜日の朝、畑で作業をしながら聞いてくださっているそう。そうなんです、日曜の朝に庭仕事などをしながら聞いてます、というお声は結構多くいただくんだね、これが。本当に嬉しい限りです。
校長先生は、こんな思いを語ってくださいました。
「すごく個性豊かな生徒たち、普段マジックショーに触れる、見るという機会はない子がほとんどなんです。だからこそ、こういう記念の日にコンプレッサーさんのマジックを見て、あ、こういう世界もあるんだっていう何かを感じ取って欲しいんです」と。
日常生活の中で、今日はあのイベントがあるから行ってみよう、あそこに行きたいから行こう、と気軽に考えていますが、実はそれすら当たり前ではない方々がいらっしゃる。そのことを改めて考えさせられました。
そんな皆さんに楽しんでいただく30分間。これは本当に大事な30分ですよね。
ショー当日のハプニング! そして気づいたこととは?

正直なところ、様々な個性を持った生徒さんたちが、マジックショーをどこまで理解してくれるんだろうか、という迷いがあって、先生方に率直に聞いてみました。すると、「みんな素直にそのまま受け止めますよ」というお言葉。
なるほど、と。例えば、ダンボールに人が入って傘をたくさん刺すようなイリュージョンは、今回はやめておくことに。マジックだと理解しているから不思議で面白いわけで、素直にそのまま受け止めると、箱に人を閉じ込めて傘を刺しているわけで…これは間違って受け止められる可能性もあるな、と。
演目のチョイスも少し悩み、話すスピードや選ぶ言葉も、なるべくゆっくり分かりやすく、と想定しながら当日に挑みました。
そしてマジックショーがスタートすると、いきなりハプニングが。 いつも使っているマイクホルダーを忘れてしまい、代用のマイクホルダーを使おうとしたら、マイクのサイズがあわない・・・!
プロとして18年間やってきて、なんでこんな初歩的なミスをしたんだろうと、オープニングから頭の中がトラブルモードに。
とはいえ、こんな時でも進めていくだけの経験値はあるので、胸ポケットにマイクを差し込み、ホルダー代わりにして進めました。
最初のイリュージョン。これは子供たちにしっかり伝わる大きな作品を、と選んだものですが、今度はなんと音楽が途中で止まるというトラブル!ほとんど経験のない出来事にびっくりしました。
でも、止まったものはしょうがない。そのままおしゃべりをしながらイリュージョンを進めるという展開に。
「あれ?いつものマジックショーと全然変わらないじゃないか」

ところが、です。 トラブル続きにもかかわらず、子供たちの反応は本当に素晴らしく、大きな拍手と大歓声で、ものすごく盛り上がっているではないか!
そこで気づいたんです。 こちらが勝手に色々と考えすぎていたんだな、と。
なぜかって、みんな普通にキラキラと目を輝かせながら楽しんでるんです。「伝わるかな?」「伝わらないかな?」なんていうこちらの心配をよそに、めちゃくちゃ楽しんでいる様子を見て、「あら、いつものマジックショーと全然変わらないじゃないか」という思いが湧いてきました。

事実、その後、客席に降りていって生徒さんたちと絡みながら進めるマジックも、ステージに先生が上がった瞬間の反応も、普段、小学校や中学校、高校などでやっているマジックショーと何ら変わらない盛り上がり!
客席で会話をしても、いつも通りのリアクションがもらえるし、言葉ももらえる。本当に何も変わらないんですよね。
ショーを終え、最後に花束をいただき、感謝の握手で盛り上がって幕を閉じました。

忘れられない、心に残る時間になりました
ショーを終えて一番思うことは、「普段のマジックショーとまったく変わらなかったな」という、本当にこの一言に尽きます。
正直なところ、ショーが始まる前は「どこまで伝わるだろうか」「楽しんでもらえるだろうか」と、こちらが勝手に「この子たちはこうだから」という枠組みを自分自身で持ちすぎていたんじゃないかな、と。
でも、実際に始まってみると、子供たちは目の前の不思議な現象や冗談に、本当に素直に、キラキラした目で反応してくれるんです。
終わった後、先生方からも「子供たちが本当に楽しんでいる様子が嬉しかったし、ショーが進むにつれてマジックの不思議さを理解していく姿に少し驚きました」という感想をいただきました。
もちろん、これまでの様々な現場で培ってきた「伝え方」や「間の取り方」といった経験値が、今回助けになった部分もあるのかもしれません。
でも、それ以上に強く感じさせられたのは、不思議なことを見て「驚く心」や、冗談を言って「笑い合う時間」、そして人と人とがコミュニケーションをとる「温かさ」。これらは、どんな場所でも、どんな方々に対しても、まったく変わらずに届くものなんだな、と。
そう、本当に「いつも通り」だったんだな、と。 いつも通りマジックをして、皆さんに楽しんでいただけて、心から嬉しかった。本当にこの感覚なんです。

だからこそ、終わってみると「あ、こんな感じだったら、もっとみんなに見せたかったマジックがいっぱいあったな」という思いが湧いてきました。 「これは伝わらないかも」「これは難しすぎるかな」と、自分で勝手に制限を作って、あれもだめ、これもだめ、と省いてしまったんだな、と。
でも、みんなのあの素直な笑顔や驚く顔を見ていたら、そんな心配はまったく必要なかったんだね、これが。
もしかしたら、こういう「勝手な思い込み」や「見えない枠組み」って、普段の生活の中でも無意識に作ってしまっているのかもしれません。 「この人はこうだから」とか「きっとこうに違いない」とか…。
でも、そんなフィルターを一枚外して、ただまっすぐに目の前の人と向き合ってみる。 そうすれば、そこには「いつも通り」の温かい笑顔や、心が通い合う瞬間がちゃんと待ってくれている。
今回の高岡支援学校さんでの時間は、そんなシンプルで、一番大切なことを改めて教えてくれた、本当に忘れられないひとときになりました。
富山県立高岡支援学校の皆さん、先生方、そしてPTAの皆様、本当にお世話になりありがとうございました。 心に残る時間をいただき、たくさん勉強させていただいたのは、もしかしたら私自身の方かもしれません。 お世話になりありがとうございました!またお会いできる日を楽しみにしております。
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そして当日は、契約中のカメラマン小笠原さんこと「おがちゃん」にたくさんの写真も撮っていただきました。ブログの写真は、おがちゃん撮影です!
【カメラマン 小笠原一吉】
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