大人になっても冒険だ!
- vol.9/コンプレサー通信2016年7月号掲載
岐阜県高山市での公演を終え、アシスタントのともやんと二人、高速道路で帰路へ。
ステージショーが大盛況だったこともあって、ノンアルコールビールで乾杯、会話も弾む。
途中、夜間通行止めで下道へ。
進んでいくと、次第に道幅が狭くなっていく。
崖と壁の間を縫うように進むと霧が立ち込めてきた。
便利なカーナビも、山道での『距離優先』は選択しないほうがいいらしい。
「子どもの頃夢みた冒険だ!」
ともやんがハイテンションで叫んだ。
ともやんとは幼馴染。
小学生の頃、世界的に大ヒットしたキッズアドベンチャー映画『グーニーズ』にハマって、冒険を夢みた日々を思い出す。
「あの山に洞窟があるらしいぞ」
そんな噂を聞いて、二人で行ったっけ。
小麦粉を水でといて焼いたクッキーを非常食としてポケットに入れて、水鉄砲を装備。
今となっては笑えるけれど、当時は真剣だった。
恐るおそる洞窟へ。
三メートルほど進んだらもう壁が。
進みたくっても進めない。映画とのギャップにがっくり。
帰り道、味気ないクッキーと自転車のかごで揺れている水鉄砲がなんだかむなしかったなぁ。
「大人になってもこんな冒険ができるなんて楽しいねぇ」
ともやんの声で我に返る。
真っ暗な山道を車で走り続けた。
もしかしたら、あの頃の夢がかなっているのかもしれない。
水鉄砲をマジック道具に持ち替えて、僕たちは毎日、この険しい世界を進んでる!冒険はまだまだこれからだ!