娘がおびえたゾンビの正体
- vol.47/コンプレサー通信2019年9月号掲載
「ゾンビが来たらどうしよう」
夏休みのある日、一人でお留守番をすることになった小学二年の娘が不安そうな顔をしている。
ママが帰ってくるまでの、ほんの三十分ほどなんだけどね。
昨夜観たゾンビ映画を思い出したらしい。
「ゾンビなんていないから安心して!あれは映画の中の話だからね」
と、まだ現実と空想の区別が曖昧な娘をなだめるコンプさん。
「冷蔵庫のケーキ食べていいよ、食べ終わるのに十分くらいかかるかな?ユーチューブを十分観てもいいよ、そのかわり宿題も十分やらないとね。ほら、あっという間に三十分!」
不安な表情がやわらいで少しずつ笑顔を取り戻していく娘。
ケーキとユーチューブがゾンビの恐怖を追いやったらしい。
まだ幼い娘がちょっと単純で愛おしいな。ハイタッチしてお仕事へ出発。
ゾンビやエイリアン、幽霊やお化け。
コンプさんも子供の頃はすごく苦手だったなぁ。
不確かな物を恐れる必要なんてないのにね。
そこまで考えて、はっとした。
失敗したらどうしようと考えたり、将来の不安を感じたり。
時々襲ってくる心のモヤモヤの多くは、娘が恐れたゾンビと同じ、単なる妄想なんだよね。
妄想に怯える自分を想像したら、笑っちゃった。
どうせなら、明るい妄想でニヤニヤしていたいな。