ピカピカの革靴

  • vol.59/コンプレサー通信2020年9月号掲載  

その人の革靴はいつもピカピカに輝いていた。

新しいからではなくって、しっかり磨かれているのだ。

その人のデスクはいつも整理されていた。

物の置き場所が決まっているらしい。

いない時は、イスもきちんとデスクに収まっていた。

その人は、職場に出入りするとき、その場で立ち止まって一礼をしていた。

立っているときも、座っているときも、背筋がピンと伸びていた。

「いつもそんなにキッチリしていたら疲れそう」

あの頃のコンプさんには、そんな感想しかなかったけれど、今になって、ちょっとだけマネをしてみようと思った。

コロナが広がって出演仕事がほとんどなくなり困り果てていた時、ご縁がつながって、とあるプロジェクトを任されることになった。

その仕事をキッチリやりきろうと決めたとき、その人のことを思い出したのだ。

やってみたら、芸にもつながる気付きが多かった。

なんだかこれまで、雑に生きてきたなぁ思う。

一つひとつ、丁寧に、丁寧に。

これもまた、コロナ禍ならではの学びだなぁ。