言葉がなくても伝わる心
- vol.11/コンプレサー通信2016年9月号掲載
大好きな夏があっという間に過ぎ去っていった。
楽しみにしていた予定がすべて過去の思い出になった。なんだか寂しいなぁ。
そう感じるのはきっと秋だからなのね。
どこか寂しい気持ちになると、いろんな思い出がよみがえってくる。
小学生の頃、ともやんと一緒に、冒険気分で山にでかけ「食料を確保しよう!」と、柿の木に登ったら、知らないおばぁちゃんに見つかった。
やばい、怒られる!と思ったら
「どの柿がほしいの?」
と言われて拍子抜け。
結局、袋いっぱいの柿をいただいた。
「ありがとうございました」と、二人で深々と頭を下げてその場をあとに。
強烈な罪悪感で胸がいっぱいになったっけ。
当時流行っていたBB弾のピストルを小学校に持っていったら担任の先生に見つかった。
怒られる!と思ったら
「お、これはかっこいい鉄砲だね!」
とほめられ拍子抜け。
先生はひとしきり鉄砲のうんちくを語ったあと、
「でも学校で遊ぶものじゃないよなぁ」
と、つぶやいた。
それ以来、学校におもちゃを持っていくのをやめた。
「今日、先生は○○の湯に行きます。来たい人はどうぞ」
学校帰りの先生に誘われ、地元の銭湯へ。
みんなで輪になって背中を流したなぁ。
特別な会話もないのに、友情が深まったし、この先生が大好きになった。
数年前、ステージにたったら客席に先生のお顔を発見。
すでに定年を迎えていたお姿に、時間の流れを感じて涙がでちゃった。
どれだけたくさんの人に、お世話になってきたんだろう。
いつだって、心はひとりじゃないんだね。
センチメンタルな気分に浸っていたら、力が湧いてきた。