富山県の放課後児童支援員研修会に登壇。マジシャンが伝えたかった「子どもたちと心を通わせる」3つの柱

富山県と富山県こども未来館が主催する「放課後児童支援員等資質向上研修会」の初日(東部会場)に研修会 講師として登壇しました。
日々、元気有り余る子どもたちと向き合い、時にはきれい事だけでは解決できないような現場で奮闘されている指導員の皆様に、マジックを通じて何をお届けできるか。
90分に込めた思いと、講演でお話しした3つのエピソードをご紹介します。
想定を超える参加者に感謝!90分間の3部構成

富山県を東部と西部に分け、2日間にわたって開催される研修会の初日。
会場には当初の想定よりも多くの方々がお集まりいただけたようで、主催者の皆様が喜んでいらしたのが、こちらとしても本当に嬉しかったです。
さて、マジシャンである自分が指導員の皆様に何を伝えられるのか。これは随分と考えました。
ただマジックを教えて「これで子どもたちを楽しませてね」という薄っぺらなことは、きっと意味がない。そうではなく、マジシャンとしてお伝えできることが必ずあるはずだと。
子どもたちと向き合う皆様にとって、何か一つでも心に残る「タネ」を持ち帰ってほしい。そんな思いで、90分間を3つのパートに分けることにしました。
- 講演(おしゃべり):30分
- ミニマジックショー:10分
- マジックワークショップ:50分
マジックショーはいつも通り、不思議と笑いの時間をお届けします。
問題は講演とワークショップ。特に、最初の講演でお話しする内容については、最後まで考え抜きました。
ワークショップでお届けした3つの「タネ」

50分間のワークショップでは、ただマジックを覚えてもらうだけではなく、実際に子どもたちに演じてもらい、楽しい時間を過ごしてもらうための「見せ方」「表現の仕方」「演出の仕方」を考えていただく時間にしました。
チョイスしたのは、以下の3つのマジックです。

- ランニングホース(馬のトリックアート) これは古典の作品ですが、15年ほど前に自分が作ったものがありました。先日、レギュラーで入っている学童保育に持っていったところ、子どもたちの反応がものすごく、その集中力に驚かされました。 ただ、15年前の写真があまりにも今と別人すぎて…データを新しく作り直し、リニューアルしてお届けしました。
- 矢印マジック 昨年作った、人気のマジックです。こちらを皆様にプレゼントいたしました。
- リングとチェーン これもまた古典のマジックです。探せば100円ショップで売っているかもしれませんが、最近は手に入りにくくなりました。 昔はホームセンターで鎖と輪っかを買ってきて、自分で作っていたもんです。そうすると結構なお値段になったのが懐かしい。なんとか知り合いのマジックショップオーナーさんにお願いして仕入れていただきました。
この3つを、自身の経験も踏まえながら皆様に練習していただきました。

講演で伝えたかった、3つのエピソード
講演の準備は、いつものようにウォーキングをしながら小さなレコーダーにブツブツと喋り、それをAIで整理するという流れです。
1時間ほど喋った中から、どうしてもお伝えしたいエピソードを3つに絞り込みました。
1.「大人はみんな、子どもだった」- 観客と同期するということ
『星の王子さま』の作者サン=テグジュペリの一説、「大人はみんな、はじめは子どもだった。しかし、そのことをおぼえている大人は、いくらもいない」という言葉。
これは、マジックショーを演じる上でとても大切にしていることなんです。
小さな子どもたちの前で演じるとき、自分も子どもだったあの時、どんな気持ちだっただろうかと思い出します。 観客の気持ちと「同期する」。 これは大人のパーティーでも、お祭りでも、敬老会でも同じです。今、観客はどんな心持ちでここにいるのか。そこに心を合わせるところから、いつもマジックショーを始めているんです。
実際に振り返れば、自分自身も相当なやんちゃ坊主でした。両親が校長先生に呼ばれたことも一度や二度ではありません。 皆様が相手にしている子どもたちの中にも、なかなか手の焼ける子がいるかもしれません。
でも、もしかしたら自分もそんな子どもだったかもしれないぞ、と。 「自分もかつて子どもだった」ということを思い出す価値は、そこにあると思うんです。 それこそが、子どもたちと本当の意味で心を通わせるための、最初の鍵なんじゃないかな、と。
2. やんちゃだった自分が変わった、恩師の一言
そんな自分でも「変わった」と思えるきっかけがありました。小学校の時に出会った、一人の先生のエピソードです。
学習発表会でコントを全力指導してくれたり、バレンタインデーに起きた出来事だったり。
忘れられないのは、学校にエアガンを持っていった時のことです。 見つかったら怒られる、取り上げられる…そう思っていたら、先生は近づいてきて、まさかの「軍事講釈」を始めたんです。興奮した様子で「これはこうだからこうなんだ」と。 ひとしきり共感してくれた上で、最後に一言、「だけど、これは学校に持ってくるな」。 たったそれだけ。それで、持っていくのをやめたんです。
もし、あの時先生がルールだけを押し付けていたら、どうだったでしょう。 「おもちゃなんか学校に持ってくるな」と頭ごなしに言われていたら、その先生のことを嫌いになっていたかもしれない。 先生は信頼関係を作ってくれた。大人の器を見せてくれた。そして何より、一人の人間として接してくれた。それが子ども心に響いたんだな、と今でも思います。
あの先生との出会い、あの一言がなければ、今の自分はいなかったかもしれない。 たった一度の関わり、ほんの短時間の出来事であっても、それがその子の未来を大きく変えるきっかけになる。指導員の皆様の日々も、そんな瞬間に満ちあうれているんだと思うんです。
3. マジシャンとしての転機 - あすなろ小児歯科 院長先生の言葉
これが3本柱の最後です。
プロマジシャンとして独立した当初、大人向けのマジックショーをやりたいという思いでいっぱいでした。 なぜなら、当時の富山ではなぜか「マジック=子どもたちに見せるもの」というイメージが定着していで、大人は全く見てくれない。それがすごく嫌だったんです。マジックは大人も楽しめるものなんだ、と。
そんな時、あすなろ小児歯科の今は亡き院長先生から連絡がありました。 行ってみると、そこは夢の国のような歯医者さん。ド肝を抜かれていると、院長先生はこうおっしゃいました。 「歯を治療するのは当たり前。そうじゃなく、せっかく来てくれた子どもたちに何かを感じてほしい。歯医者から帰る時、親子で顔を見合わせながら『今日も来てよかったね』と笑顔で帰る世界を作りたいんだ」 「子どもたちの未来につながっていく、そのきっかけを君に作ってほしい」
単なる客集めだと思っていた自分の薄っぺらさに気づかされました。院長先生に教えてもらったのは、まさに「短時間の関わりであっても、それは子どもたちの未来につながる種まきになる」ということでした。
それから15年以上、通い続けています。 すると、当時子どもだった子たちが大人になって、今、会いに来てくれるようになったんです。すごいバトンだと思いませんか。
あなたの「マジック」はなんですか?
何が言いたいかというと、自分の場合はたまたまそれが「マジック」という武器でした。
でも、皆様にもきっと、子どもたちの心に届く「種」があるはずなんです。 子どもの頃になりたかった夢。漫画家かもしれないし、歌手かもしれない。折り紙が得意だった、絵を描くのが好きだったとか、かけっこがはやかったとか、遅かったとか。
もしかしたら、子どもの頃イジメにあっていたなんて方もいらっしゃるかも。
それらがきっと、皆様にとっての「種」であり、あなただけの「マジック」になるんだと思うんです。
その種を今一度見つめ直し、自分なりのやり方で子どもたちのために活かしてほしい。 そんな思いを、お話をさせていただきました。
また、主催のこどもみらい館のスタッフの皆様の、きめ細やかで相変わらず明るく元気なご対応には、いつお会いしても本当に素晴らしいなと感じさせられます。子どもたちと接する皆様のあのあり方、素敵だなあ、と。
初日を終え、また明日、2日目(西部会場)があります。 今日と全く同じ内容にはならないと思いますが、また明日も、その瞬間でしか生まれない言葉を選びながら、自分なりの思いをお届けできたらなと思います。
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