マジシャンの見えない糸
- vol.12/コンプレサー通信2016年10月号掲載
荷物の積み込みを終え、出発しようと思ったら遠くから視線を感じる。
職業柄うれしいな。
プロマジシャンとしての活動を始めたばかりの頃、『富山県内での知名度をあげる!』というのを課題にしてたっけ。
そんなことを思い出しながら、手をふっている女性に笑顔で会釈をして出発。
バックミラーをみたらトランクが全開。
危うくマジック道具をばらまくところだった。
あの女性、そのことを教えてくれてたのね、あぁ恥ずかしい。
信号待ちで隣にトラックが止まる。
運転手さんが窓をあけて話しかけてきた。
「ラジオ、いつも聴いてますよ、頑張ってください!」
励みになるなぁ。
カレー屋さんでランチ。
スタッフさんに声をかけいただき記念撮影。
あとからSNSで記事を発見。『コンプレッサーさんご来店、ビッグなカツカレーを食べていかれました!』
妙なものを食べなくってよかったなぁ。
サウナで元気なおじさんに遭遇、裸で『鳩の出現』をせがまれ戸惑うコンプ。
居酒屋で乾杯!
「コンプさん、俺の千円札を一万円札に変えて!」
「いいですよ、準備をするので一万円札を貸してください!」
おじさんは笑いながら去っていく。
ショーの打ち上げの席で、初対面の方に話しかけられた。
「コンプさん、週に一回ご両親とお茶してるんですよね。その話をラジオで聴いて、ボクも会いに行ってきたんですよ。母親がすごく喜んでくれてうれしかったです!」
その一言で、ハッとした。
いろんな人と、見えない糸でつながっている、この仕事の役割を感じた。