早起きはたくさんの徳

- vol.5/コンプレサー通信2016年3月号掲載
「コンプさん、朝6時から出演してもらえませんか?」
朝6時。
頭がまだ夢と現実のあいだにある時間帯だ。
ということは、お客様の判断力もゆるんでいる。
マジシャンにとって、これはなかなかラッキーな会場かもしれない(笑)。
「サラリーマンからプロマジシャンに転職された時のことや、コンプさんの歩みや考えを、経営者の皆さんに語ってほしいのです」
あ、マジックはしなくていいのね。
それでも楽しそうだったので、やってみることにした。
ただ……自分のことを語るって、なんとも気恥ずかしいものですね。
そういうの、すんごい苦手だなぁ。
社長さんたちを前に、毎日もがいているコンプが、偉そうに壇上から何かを語るなんて。想像するだけで胃のあたりがもやもやした。
準備をしながら、ぼんやりと自分の来た道を振り返っていた。
いいこともあった。うまくいかないこともあった。
いろんな人の顔が、ふっと浮かんできた。
そうか。この人たちとのことを、素直に話せばいいんだ。
飾らなくていい。うまくまとめなくていい。ただ、正直に。
そう気づいた瞬間に、すっと体が軽くなった。
本番は、なんとか乗り越えることができました。
それからというもの、あの早朝の会に通い続けています。毎週、です。
そこには、いろんな人の「生き様」がある。
先日、小矢部市で農園を営む社長さんが登壇された。
自動車の修理工場を辞めて、農家へ転職。フルーツトマトの研究と開発に情熱をそそぎ、失敗を重ねながらも挑戦を続け、ついておいしいトマトが完成した。人気のテレビ番組にも取り上げられ、大フィーバー。
「野菜は、手をかけた分だけ成長してくれます。おいしい!という声が励みになります。また新しい品種づくりの挑戦をはじめました」
話しながら、目がキラキラしていた。
「社長」というよりも、自分の大好きなものに夢中な、一人のおじさんがそこにいた。
かっこいいなぁ。
朝6時に出かけてよかった、と心から思う瞬間でした。
