ギブ・アンド・ギブ
- vol.27/コンプレサー通信2018年1月号掲載
テーブルマジックのお仕事へ。
女性スタッフさんが多く働く職場に出張し、宝飾販売をしている企業様から、毎月数回、出演依頼をいただいているのです。
「こんなに近くで観ていいのですか?」
お客様がやってきた。
「間近で楽しむのがテーブルマジックですよ!」
目の前の席をご案内。
「真横に座ったらタネが見えますか?」
「えへへへ、真横はいろいろ見えるので別料金ですよ」
笑いが起こった。
「今日は特別に私の後ろから観てもいいですよ。ただし、夜道を歩くときは気を付けてくださいね。」
みんなが笑顔になった。
テーブルマジックは、お客様との会話も重要なのだ。
扉がバーンと開き、少年が肩で息をしながら会場に入ってきた。
「間に合ったね、こっちにおいで!」
スタッフの一人が立ち上がった。
少年の母親らしい。
少年は六年生。
母親の職場にコンプさんが来ると聞いて、学校が終わって、自転車で駆けつけたのだ。
「コンプさんのマジックを観て、マジックが大好きになって、家でいつも練習をしているんですよ。今度、学校で披露するんです!」
と、母親が教えてくれた。
照れくさそうに座っている少年をみたら、なんだかうれしくなった。
コンプさんが気づかないところで、この少年に、影響を与えていたのだ。
そして、少年が今、コンプさんにエネルギーを与えてくれたのだ。
プロ活動十周年、これまで、多くの皆さんからエネルギーをいただいてきた。
ちゃんと恩返しはできているのかな。
誰かが言ってたなぁ。
大切なのはギブ&テイクではなく、ギブ&ギブの精神だと。
トランプを混ぜると少年が真剣な顔に。
その表情を母親がうれしそうにみている。
とっておきのマジックを演じよう。
心に残る、最高のドキドキ・ワクワクを届けるのだ。