金太郎飴のように

  • vol.68/コンプレサー通信2022年5月号掲載

「金太郎飴を目指しています。どこを切っても同じ顔。ステージでも、テレビでも、ラジオでも、打合せ中も、トイレしてる時も、お酒飲んでるときも、ずっと同じでいれたらいいなと思っています。だって、そのほうが楽だもん、わははは」

先日講演の機会をいただき、何気なく話したその部分に共感する方が多かったことを、あとからいただいた感想で知って照れ笑い。伝えたい内容のとりまとめに時間をかけたのに、その部分よりも、何気なく口にした言葉が印象に残ったようだ。おかげで昔を振り返る有難い機会となった。

プロマジシャンになったばかりの頃、何度ステージに立っても、記憶がなくなるほど緊張して、そんな自分が情けなくって嫌で、この仕事はむいていないのではないかと本気で悩んだ時期があった。

そんな時、ご一緒させていただいた落語家師匠から「高座に上がる時はトイレに行くくらいの気持ちで行けって、うちの師匠が言っていた」という話を聞いて衝撃をうけた。

それまでずっと、出演タイムを特別な時間だと考えすぎていたのかもしれないと思った。

それをきっかけに、どんな時でも特別な時間だとは考えないよう心掛け「ぜ~んぶ同じ時間、ずっと同じ顔」と自分に言い聞かせるようになった。

そして十年以上が過ぎた今、言葉ではなく金太郎飴が頭の中に浮かぶようになっているのだ。

あの頃よりも、少しは金太郎飴に近づいているかなと自分に問いかけてみる。

コロナの前とコロナの今も、同じ顔で過ごせているかな。

ぜ~んぶ同じ大切な時間だからとことん楽しまなきゃね。

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