エッセイ:人生初のマジックライブで学んだこと

24675974 m - 出張マジックショー

人生初のマジックライブで学んだこと

「今日も、ウケなかったなぁ」

マジシャンになりたての頃。

出番は、ステージのない路上や、酔っぱらいだらけのパーティーばかりだった。

現場力を磨かせてもらえる、ありがたい場所ではある。

それでも、ウケない理由を、つい環境や観客のせいにしてしまう。

そんな自分が、どうにも嫌だった。

「場は自分で作るものだ」

落語家の師匠の言葉が、胸に刺さった。

言い訳のできない場所で、力を試したい。

自由に演出できる、単独ライブの定期開催を決めた。

ちょうどその頃、ラスベガスで観たマジックショーが忘れられずにいた。

最高の環境。

マジックを目当てに集まったお客さん。

たったひとりで、長い時間、客席を沸かせ続ける一流マジシャンの姿は、まぶしかった。

決意はしたものの、最初のチケット販売が、また大変で。

告知したくらいで売れる知名度なんて、あるわけがない(笑)。

一枚、また一枚、頭を下げて売り歩いた。

買ってくださった方の顔が浮かぶと、練習にも自然と力が入る。

主催者さんからまとまったギャラをいただく出演とは、背負うものがまるで違った。

そして迎えた当日。

無事に満席で終えたときの感動は、今もはっきり覚えている。

「やった奴にしか分からないんだよなぁ」

師匠に報告すると、ご自身の歩みを振り返るように、そう言ってくださった。

この言葉が、宝物になった。

あれから、もう十年以上。

早いなぁ。

さて。

次は、どんな場を作ろうか。


エッセイを読んでいただき、ありがとうございます。書いているのは、富山のマジシャン・コンプレッサーです。