エッセイ:ふわふわ言葉とちくちく言葉

誰もいない小学一年生の教室。小さな木の机と椅子が並び、大きな窓から光がさしこむ。壁にはひらがな表や子どもの絵、棚にはランドセル。手前の机にふでばことノート

ふわふわ言葉とちくちく言葉

「本物にふれる授業」というので、呼んでいただいた。

全校生徒のみなさんに、体育館でマジックショー。

本物だなんて、照れくさいなぁ。

その前に、控室にどうぞと通されたのは、一年生の教室だった。

小さな机と椅子が、ちょこんと並んでいる。

ちょっと、ひと休み。

その椅子に、腰をおろす。

こんなに低かったっけ。

毎日ここに座るのは、一年生。

みんな、ちっちゃいんだなぁ。

ふと、うしろの壁に、貼り紙がひとつ。

「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」。

ふわふわ言葉は、「ありがとう」「いっしょにあそぼう」「だいすき」。

ちくちく言葉は、「きらい」「むり」「あっちいって」。

子供の頃、こんなこと、ちゃんと習っていたんだろうなぁ……

すっかり、忘れていたけれど。

よし。今日のショーは、ぜんぶふわふわ言葉でいこう。

……そういえば。

経営者の皆さんが集まる勉強会、

いい大人が朝っぱらから、一年生とおんなじことを、補習中(笑)。

一生かけて、ちょっとずつ、ね。

さあ、出番だ。

小さな椅子から、よっこいしょ、と立ち上がり、膝がポキッと鳴った。

すっかり、おじさんになっちゃったなぁ。

いってきます。


エッセイを読んでいただき、ありがとうございます。書いているのは、富山のマジシャン・コンプレッサーです。