レクリエーションボランティア講座でマジック|南砺市社協、覚えて帰る90分

こんにちは!マジシャンのコンプレッサーです!

2026年8月20日、南砺市社会福祉協議会さんの「レクリエーションボランティア講座」で講師を務めてまいりました。会場はKAWADAアリーナ福野の1階研修室。全3回シリーズの、第1回がマジックです。

チラシに大きく書かれたテーマは「楽しく学んで地域に貢献!」。

つまり、ショーを見て終わりの90分ではありません。受講者の皆さんが、マジックをできるようになって帰るための90分です。

見せて終わりではなく、渡して帰る。そういう日でした。

KAWADAアリーナ福野の入口に貼られた「楽しく学んで地域に貢献!レクボランティア講座①マジック」の案内

南砺市社協のレクリエーションボランティア講座とは?

地域のサロンやお祭りで出し物ができるボランティアさんを育てる、全3回の連続講座です。第1回がマジック、第2回がバルーンアート、第3回は覚えたことを実際に披露する実践発表という構成になっています。

ここがこの講座の一番よくできているところなのですが、覚えて終わりではなく、披露する場所まで先に用意されているんですね。第3回は10月に開かれる地域のお祭りなどが候補として案内されていました。

出口が決まっていると、受講する側の目つきが違ってきます。「いつか誰かに見せるかも」ではなく「10月に見せる」ですから、練習の本気度がまるで違うのです。

参加されたのは、幅広い年齢の皆さん。年配の方から働き盛りの方、そして制服姿の高校生まで。事務局長さんもご挨拶の中で、若い世代が手を挙げてくれたことをうれしそうに話しておられました。

南砺市社会福祉協議会のレクリエーションボランティア講座 当日資料の表紙

南砺市社会福祉協議会さんの活動は、公式サイトからご覧いただけます。

https://nanto-shakyo.jp/

90分をどう組み立てたか

打ち合わせの段階で、前後5分ずつを事務局の説明にあてる形が決まっていました。ですので、持ち時間はおよそ80分。この80分を、3つに分けて組み立てています。

時間内容ねらい
前半おしゃべりなぜマジックが地域で役に立つのかを共有する
中盤マジックショープロのマジックに触れて「こんなに面白いんだ」を感じてもらう
後半手を動かす時間全員が同じマジックをできる状態にして帰す

この3部構成、実は昨年から続けている形です。学童保育の支援員さん向けの研修会や、こどもみらい館さんのボランティア養成講座でも同じ流れでお届けしてきました。

https://comp-office.com/magic-show/kodomo-miraikan-volunteer-magic-report-2026/

いきなり手を動かしてもらってもいいのでは、と思われるかもしれません。でも順番を逆にすると、手は動いても気持ちが乗ってこないのです。

最初のおしゃべりは、その日いちばん大事な仕込みだと考えています。

最初のスピーチでお伝えしたこと

ちなみに、この記事の写真はぜんぶアシスタントのともやんが撮ってくれたものです。

……が、肝心のスピーチ中の1枚だけ、ありませんでした(笑)。ともやん、次はよろしくね!

というわけで、雰囲気だけこちらでどうぞ。

レクリエーションボランティア講座の会場、KAWADAアリーナ福野の研修室に立つマジシャン・コンプレッサー

その日の午前中は、富山市の保育園でマジックショーをしてきました。0歳から5歳の子どもたちが、座ってにっこりしながらこちらの顔を見ている。それだけでうれしくなってしまう時間です。

その話から入りました。というのも、保育園の空気に触れているうちに、マジシャンとしての出発点をはっきり思い出したからです。

最初のボランティアは、風船だった

サラリーマン時代、あるマジシャンと出会って風船にはまりました。家でずっとひねっていたら噂が広がって、子どもが通っていた保育園から「行事で作ってもらえませんか」と声をかけていただいた。

あれが人前で何かをした最初でした。もちろん無償のボランティアです。

大きな花や兜まで作れるように練習して当日を迎えたのですが、始まっても誰も集まってきません。

準備してきた思いと、目の前の現実とのギャップ。あれはこたえました。

とりあえずひねり始めたら、ぽつぽつ子どもが来て、気づけば行列。パニックになりながら作り続けて、結局できたのは犬とネズミとウサギの3種類だけ(笑)。

作り方はぜんぶ同じで、パーツの長さが違うだけ、というね。

そして終わって顔を上げたとき、目に飛び込んできた光景が忘れられません。

会場中の子どもが赤や黄色や緑や青の風船を持っていて、それだけで会場がきれいになっていて。お母さんたちもうれしそうな顔をしている。

やってよかったなあ、と思いました。

みんなに楽しんでもらうって、いいことだな。素敵なことだな。

たぶんあの瞬間が、今につながる出発点だったのでしょう。

この風船の日のことは、ラジオでもお話ししました。

https://comp-office.com/radio/magic-volunteer-toyama/

エッセイでも書きましたよ。

エッセイ:犬とネズミとウサギ

マジックに出会う前、夢中で風船を作っていたら初めての依頼が。犬とネズミとウサギばかり折り続けた、汗だくの夏祭りが原点だった。

ボランティアは尊い。プロには、もうできないから

もうひとつ、正直にお伝えしたことがあります。

今はプロマジシャンとして会社を立ち上げていますので、基本的にはボランティアでマジックをするわけにはいかない立場なんですね。こちらは無料、こちらは有料、というわけにはいきません。お金をお支払いくださる方に対して筋が通らなくなってしまいます。

だから、ボランティアで動ける方々のことを、心から尊いと思っています。

そして同時に、こうも思うのです。

一人でも多くの方にノウハウを持ち帰っていただければ、その分だけ地域のいろんな場所で、いろんな方が、楽しい時間をつくれるようになる。

こちらが行けない場所に、皆さんが行ってくださる。

これ以上ありがたいことはありません。この講座をお引き受けした理由は、そこに尽きます。

与えたものが巡っていく感覚については、エッセイでも書いたことがあります。

https://comp-office.com/essay/give-and-give/

「まず、目の前の一人を快適に」

ある落語家の師匠は、お弟子さんに「とにかく私を快適にしろ」とおっしゃったそうです。

字面だけ聞くと、なんて偉そうな師匠だ、となりますよね(笑)。でも意味はまったく逆でした。

近くにいる目の前の一人を快適にできない人が、大勢の人を幸せな気持ちにできますか。

ステージに立てば、1000人のこともあれば、この日のように研修室いっぱいの皆さんのこともある。

その全員に楽しんでもらおうというときに、普段の生活で、身近な人を楽しませることができないのに、はたして大勢の人を楽しませることができるのか?

そういうお話でした。地域で活動される皆さんにこそ響く言葉だと思って、そのままお伝えしました。

失敗しても大丈夫。むしろ失敗は好かれる

百貨店に17年勤めていた頃、販売促進の担当として「全従業員がマジシャンに変身」という企画をやったことがあります。

閉店後に従業員食堂へ集まってもらってマジックを覚え、ポケットに道具を忍ばせて売り場に立つ、という1か月でした。

みんなでわいわい覚えた時間が楽しかったのを覚えています。

そして本番。お孫さんを連れたお客様に見せるわけですが、なにせ覚えたてですから、当然のように失敗する。

ところが、です。

マジックを見る人は、失敗が大好きなんです。「失敗したね!」と言いながら会話が生まれて、お客様とすっかり仲良くなってしまう。

ですので、最初のスピーチはこの一点に着地させました。

うまくできるかどうかは別。失敗してもいいし成功してもいい。目の前の人に楽しんでもらおう、この人を絶対楽しませるぞ、という気持ちがあれば、何をやっても大丈夫。

まずは、プロのマジックをご覧いただきます

続いてのマジックショーは、内容にはあえて触れずにおきます。

KAWADAアリーナ福野の研修室で、受講者に向けてマジックを演じるコンプレッサー

ただ、この時間が何のためにあったのかだけは書かせてください。

ここでお見せしたのは、プロのマジックです。このあと覚えていただくものは、ひとつも演じていません。種明かしもしていません。

ねらいはひとつだけ。マジックって、こんなに面白いんだ。まずはそこを感じていただく時間です。

ずっとやってきたのは、ものすごく不思議なことを、大笑いしながら楽しんでいただくマジックです。不思議だけでも足りないし、笑いだけでも足りない。ふたつがいっしょに来たときにしか出ない空気がある、と思っています。

この日ももちろん全開でした。

「えーっ!」という驚きの声が上がって、そのすぐあとに研修室じゅうが大爆笑。前に立っていると、笑いの波が机の向こうから返ってくるのがはっきりわかります。あれが気持ちいいんです!!

不思議で、面白い。その空気をひととおり浴びていただく。ここまでが前半です。

ショーが終わって、後半に入る前に。覚えたあとに必ず起きることも、先にお伝えしておきました。

覚えたてのマジックを、身近な人にだけ見せ続けると、そのうち「もう見るの嫌」と言われてしまうんですね。この業界ではマジハラと呼んでいます(笑)。

そうなったときの道は3つ。やめるか、嫌がられても続けるか、もっといろんな人に見てもらいに行くか。

こちらは3つ目を選んだ結果、今この仕事をしています。そして受講者の皆さんが3つ目を選ぶ先こそが、地域のサロンでありお祭りなどでのボランティアの現場なのだ、というお話です。

ここからは、全員がマジシャンです

レクリエーションボランティア講座で、配られた道具を手にマジックを練習する受講者の皆さん

ショーの熱が残っているうちに、そのまま後半へ。ここからは見る側ではなく、演る側にまわっていただきます。

お見せしたものとは別に、皆さんがその日から使えるマジックを覚えて帰っていただきます。

まずはウォーミングアップのつもりで、ちょっとした頭の体操をお出ししました。制限時間3分。

これがもう、研修室じゅうがざわざわしはじめまして。ある方が最初に正解にたどり着いたときには、まわりから声が上がりました。

「できた瞬間、どうでしたか」とお聞きしたら、返ってきた言葉が

「めっちゃ気持ちいい」

これです。この一言が出た時点で、後半の勝負はついたようなものでした。

そこからは二人一組。マジシャン役とお客様役を交代しながら、ひとつのマジックをじっくり仕上げていきます。

原理を確実にできるようにして、次に見え方を整えて、最後にリズムを合わせる。段階を分けて、手元をのぞき込みながら回りました。

そして、この日は受講者の皆さんが全員できるようになりました。これはなかなかないことです。何度やってもうまくいかない方が出る回も珍しくありませんから、思わず「今日皆さん筋いいですね」と口に出してしまいました。

受講者の机を回りながら、手元をのぞき込んで一緒に練習するマジシャン・コンプレッサー

高校生と年配の方が、机をはさんで交互に見せ合っている。片方が成功して片方が笑っている。

あの光景は忘れられません。

富山弁のまま、やってください

技術以上に力を込めてお願いしたことがあります。

いつもの言葉のまま、やってください。

ありがちなのが、マジックを始めた瞬間に急に標準語になってしまう方。普段は富山弁でしゃべっているのに、道具を持った途端に「ここにチェーンがあります」と別人になる(笑)。

不思議さは十分でも、それだと相手との距離は縮まらないんですね。地域のサロンで一番効くのは、いつもの顔といつもの言葉のままで、ちょっと不思議なことが起きることです。

最後に、人に見せるときの心得も3つお渡ししました。マジックの世界で古くから言われている原則です。

  • 同じ場所で同じマジックを2度やらない
  • 種明かしをしない
  • これから何が起きるかを先に言わない

この3つを守るだけで、同じマジックの説得力がぐっと増します。

こういう講座を企画するときのポイントは?

出口を先に決めておくことです。「覚えたあと、どこで披露するのか」が決まっている講座は、参加者の伸び方がまるで違います。

南砺市社協さんの講座がよくできていたのは、第3回に実践発表を置いてあった点でした。受講者の皆さんは初回から「本番がある人」の顔で座っておられます。

企画をご検討中の方向けに、この日感じたことを整理しておきます。

  • 人数は絞ったほうがいい。手元をのぞき込んで直せる人数でないと、覚えて帰るところまでは届きません
  • 90分あると3部構成が組める。60分だと、おしゃべりかショーのどちらかを削ることになります
  • 机と椅子のある部屋がいい。手を動かす時間があるので、ホールより研修室のほうが向いています
  • 道具は主催者側でご用意いただけると理想的。持ち帰っていただければ、その日から練習できます
  • 年齢はバラバラでかまわない。むしろ世代が混ざったほうが、教え合いが生まれて盛り上がります

学童保育の支援員さん向けの研修会でも、同じような組み立てでお届けしています。

https://comp-office.com/lecture/toyama-shienin-kenshu-koushi-report/

よくある質問

マジック講座の講師は、何人くらいから依頼できますか?

人数の下限は設けていません。ただし手取り足取りお伝えする形をご希望であれば、講師の目が届く範囲まで絞っていただくのがおすすめです。大人数の場合は、覚えていただく内容をシンプルなものに調整します。

所要時間はどのくらいが適当ですか?

おしゃべり・マジックショー・実習の3部構成であれば、90分がひとつの目安です。60分でもお受けできますが、その場合はどこに重心を置くかを事前に相談させていただきます。

参加者にマジックの経験がなくても大丈夫ですか?

まったく問題ありません。この日も、初めて道具を手にされた方がほとんどでした。段階を分けてお伝えしますので、その場でできるようになります。

子どもと大人が混ざっていても成立しますか?

はい、むしろ混ざっているほうが盛り上がります。この日も高校生から年配の方までご一緒でしたが、世代をまたいで見せ合う流れが自然に生まれていました。

講座の料金はいくらですか?

内容・時間・人数・会場によって変わりますので、お問い合わせいただければお見積りをお出しします。道具をお持ち帰りいただく形にするかどうかでも変わってきます。

まとめ

マジックを見せる仕事は18年目になりますが、渡す仕事はまた別のうれしさがあります。

受講者の皆さんが、ご自身の手でできるようになって帰られた。講師としては、これ以上の結果はありません。

南砺市社会福祉協議会のレクリエーションボランティア講座の後半、笑顔でマジックを見せ合う受講者と講師

この日覚えて帰られた皆さんが、これから地域のサロンやお祭りで誰かを驚かせる。その場にこちらはいませんが、風船をひねり終えて顔を上げたときに見たあの光景が、南砺市のどこかで再現されるのだと思うと、それだけでうれしくなります。

うまくできるかどうかは、あとからついてきます。

目の前の人に楽しんでもらおう、という気持ちさえあれば大丈夫。

このような講座を企画してみたい、地域の集まりで何か新しいことをやってみたいという方は、お気軽にご相談ください。全3回のうちの1回として、あるいは単発の講座としても、内容を組み立ててご用意します。

南砺市社会福祉協議会の今井様、事務局の皆様、そして最後まで手を動かしてくださった受講者の皆様。楽しい90分をありがとうございました。

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