倫理で磨く「捉え方」|高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーで講話しました

おはようございます!マジシャン・コンプレッサーです! まわりからは「コンプさん」と呼ばれています。

ふだんはステージでマジックをしていますが、倫理法人会という経営者の集まりで、富山県の幹事長というお役もいただいています。倫理法人会は、朝の勉強会と日々の小さな実践を通じて、仕事や家庭のあり方を学び合う団体です。

8月10日(月)の朝、高岡市の射水神社で、高岡市中央準倫理法人会の第2回プレ経営者モーニングセミナーがありました。10月16日の正式な立ち上げに向けて、設立メンバー全員で走っている真っ最中です。

この日は講師役——倫理法人会では「講話」と呼びます——を担当しました。テーマは「倫理で磨く"捉え方"」。話したかったのはこういうことです。

捉え方は、意思の力では変えられない。それなのに、朝5時に行って準備をする、両親に会いに行く。そんな実践を続けていたら、いつのまにか、目の前の出来事を明るいほうから受け取れるようになっていました。

以前なら何日も引きずっていたような失敗を、「これは何かの合図かな」と思えたりする。まだまだ未熟ですけど、そこだけは確かに変わったなあと思うんです。

会場は、高岡古城公園のなかにある射水神社の参集殿(高岡市古城1-1)です。

参道を歩いてくると、すれ違う方に自然と「おはようございます」が出るんですよ。街なかだとちょっと声を落としますけど、ここなら朝から大きな声を出しても誰にも迷惑がかからない。

調子に乗って、曲がり角にいたカラスにまで「おはようございます」と言ってしまいました(笑)

でもこれ、倫理法人会で日々やっている実践が、習慣になっているということでもあるんですよね。病院で名前を呼ばれて、思わず大きな声で「はい!」と返事をしてまわりが振り向く。倫理法人会をやっていると、こういうことが起きます(笑)

射水神社で開かれた高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーで「倫理で磨く捉え方」を講話するマジシャン・コンプレッサー(富山県倫理法人会 幹事長 高畑義光)

高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーの朝

少しだけ言葉の説明を。倫理法人会の経営者モーニングセミナーは、毎週決まった曜日の朝6時から、1時間だけ開かれる集まりです。

壇上に立つ人が語るのは、成功談ばかりではありません。うまくいかなかった時期に何を抱えて、どこで折れて、何をやめて、何を始めたのか。経営者が失敗ごと差し出していく1時間です。

勉強会というより、人の生き様をひとつ見せてもらう時間、と言ったほうが近いかもしれません。

これを朝いちばんに浴びると、不思議なんですけど、その日一日の背筋が伸びるんですよ。参加は無料。会員でなくても、経営者でなくてもご参加いただけます。

高岡市中央準倫理法人会は、じつはまだ発足していません。

倫理法人会には段階があるんです。まず70社そろって「倫理法人会」として立ち上がる。そこから100社に届いた日に「準」が取れて、正式な倫理法人会になる。こうした地域ごとの会を「単会」と呼びます。

つまり高岡市中央準倫理法人会は、いまその70社をそろえている真っ最中。10月16日(金)が、準倫理法人会としての開設日です。

その立ち上がりの前に開いているのが、全3回のプレ経営者モーニングセミナー。この日はその2回目でした。

当日の次第はこちら。進行は梅島清香 副会長です。『万人幸福の栞』というのは、倫理法人会の学びの土台になっている小冊子で、そこにまとめられた十七ヵ条を毎回みんなで声に出します。

次第 担当
進行 副会長 梅島清香 さん
朝の挨拶 会員 北川弓子 さん
会歌「夢かぎりなく」斉唱・十七ヵ条斉唱・『万人幸福の栞』輪読(第2条 27頁) 全員
会長挨拶 会長 瀧根康弘 さん
会員スピーチ 相談役 竹内正明 さん
講話「倫理で磨く"捉え方"」 富山県倫理法人会 幹事長
連絡事項 事務長 川西宏昭 さん
誓いの言葉 副専任幹事 斎藤隆俊 さん
高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーの次第を書いたホワイトボード。テーマは倫理で磨く捉え方

6時ちょうど。全員の声がそろって、この朝が始まりました。

高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーで全員が声をそろえる朝の様子(射水神社 参集殿)
高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーの進行の様子(射水神社 参集殿)

朝5時、会場にはもう明かりがついている

6時開始の経営者モーニングセミナーですが、役員は5時に集まります。

机を並べて、看板を出して、資料をそろえて、それから役員朝礼。役職者の誓いを唱和したあと、「おはようございます」「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「はい」を全員で声に出す挨拶実習が続きます。

音響、プロジェクター、照明、写真、空調、朝食会の設営。当日の役割をひとつずつ読み上げていきます。

最後に、朝礼全体を見ているチェックリーダーから講評があるんですが、これがまた良かった。

「迷いがあると、みんなやっぱり心が迷う。統一感が少しずつ失われていく」

準備の話をしているようで、これ完全に経営の話ですよね。

この1時間があるかないかで、6時からの空気はまるで違います。

会長挨拶と会員スピーチ

会長挨拶は、高岡市中央準倫理法人会の瀧根康弘 会長。建設業をやりながら、開設に向けていちばん前を走ってくれています。

「今、会員が67名。70名で開設です!」

開設の条件は70社。倫理法人会は会社の単位で数えるので、あと3社というところまで来ています。

人は人で磨かれる。相手のいいところを見つけたら真似してみる。ほんのちょっと、いつもと違うことをしてみる。その積み重ねが成長になるんだ、と。

じつは先月の第1回、会長挨拶があっという間に終わったんですよ。終わったあとみんなで「短すぎー!!!」とツッコんで大笑いしました(笑)

それが今回は、残り1分のところまでたっぷり。2回目にして、もう会場をつかんでいます。

高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーで会長挨拶をする瀧根康弘 会長

会員スピーチは、竹内正明 相談役。ひとつの実践を100日間続ける「百日実践」がテーマでした。

じつはこの竹内さん、このあとの講話にもエピソードとして登場します。倫理法人会に入りたての頃、「朝5時の準備から来てください」と声をかけてくださったのが、当時 高岡市倫理法人会の会長だった竹内さんでした。

あのひと言がなかったら、この日ここで話をすることもなかったと思います。

会員スピーチをする富山県倫理法人会 竹内正明 相談役

そしていよいよ講話の出番です。席には「講話者」の札。

これを目の前に置かれると、やっぱり背筋が伸びますねぇ。

「講話者」の札が置かれた席につくマジシャン・コンプレッサー(富山県倫理法人会 幹事長 高畑義光)|高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナー

講話①|「うねりの中に入っていかないと、仕事は面白くないんだよ」

ここからが講話の中身です。まずは、10月16日に向かっている皆さんへ渡したかった言葉から。

マジシャンになる前は、高岡大和というデパートに17年勤めていました。販売促進部で、広告やイベント、店内装飾を担当していた頃です。

入りたての頃、当時の上司にこう言われました。

「高畑さん、仕事っていうのはうねりの中に入っていかないと面白くないんだよ」

意味がわからなかったんですね。うねりって何ですか、と。

そうしたら続きがありました。会社では日々いろんなところで、いろんなうねりが起きている。それに気づいたときに、客観的に眺めていちゃダメだ。飛び込まないと仕事は面白くならない、と。

30年近く前の言葉が、この朝、急に戻ってきました。

いま高岡市中央準倫理法人会の立ち上げメンバーがやっていることは、まさにこれです。外から眺めていることもできるのに、自分たちからうねりの真ん中に立っている。

ありがたいことに、お役を受けると、うねりに強制的に入れてもらえるんですよね。

落語家の立川志の輔師匠の言葉で、ずっと胸にあるものがあります。弟子ではありませんが、プロになりたての頃からずっと憧れていて、ありがたいことに何度か言葉をいただいてきました。

プロ2年目に初めての自主ライブをやり遂げたとき、報告したら、こう返ってきたんです。

「コンプレッサーくん、やったやつにしか分かんねえんだよ」

10月16日を越えたあとに味わうものは、きっとそれです。その日の打ち上げが、今から楽しみでしかたありません。

講話②|そもそも、捉え方って変えられるんでしょうか

さて、ここからが今日のテーマです。まず、こんな問いを置きました。

たとえばマジシャンが空っぽの手を差し出して、「これ、見えますか?」と聞いてみる。何も持っていないと見る人もいれば、いやトランプを隠しているんじゃないかと疑う人もいます。

同じ手を見ているのに、受け取り方はバラバラなんですね。

マジシャンは、そこへ言葉をかけ、視線を動かし、間をつくり、心理誘導をかけていきます。バラバラだった受け取り方を、こちらが狙ったところへそっと寄せていく。それで30分なり1時間なり、不思議を楽しんでいただく。

18年これをやっていると、だんだんこう思えてくるんです。

人の捉え方って、そんなに自前じゃないぞ、と。だって観客は、マジシャンにコントロールされているんですから。

これ、舞台の上だけの話じゃないと思うんです。

朝、家を出る前に家族とちょっと揉めた日。その日はなぜか、取引先の何気ないひと言がやけに引っかかる。逆に、前の晩にいいことがあった朝は、同じ渋滞にはまっても腹が立たない。

起きていることは同じなのに、受け取り方だけが勝手に変わっている。

だとしたら、です。

「よし、明るく捉えよう」と念じたところで、心の根っこまで明るくなれるのでしょうか???

腹が立っているときに「腹を立てるのはやめよう」と思って、すっとおさまったことがありますか。落ち込んだ夜に「前向きにいこう」と唱えて、本当に前を向けましたか。

ならないんですよ。表面は取りつくろえても、根っこは言うことを聞いてくれない。

今日のテーマは「倫理で磨く"捉え方"」。倫理法人会に入って捉え方が磨かれたのは間違いありません。それなのに、意思の力で直接ハンドリングできるとはどうしても思えない。

この矛盾をどう解くか。答えは最後にお伝えするとして、まずはルーツからお話しさせてください。

講話③|倫理法人会との出会いも、じつは講話でした

高岡大和を辞めてプロマジシャンになって、5年目のこと。

数字だけ見れば順調でした。フリーでやるなら1000万プレイヤーにならないとね、と先輩に言われて、2年目にはそこへ届いていた。仕事も年々増えていきます。

ところが5年目あたりで、伸びがぱたりと鈍りました。

同じやり方を丁寧に続けているだけでは、同じところをぐるぐる回っているのと変わらない。階段というのは、なだらかに上がっていくものだと思い込んでいたんです。そうじゃなかった。

どこかで一段、跳び上がらないといけないタイミングが来る。

それに気づいてしまったのに、跳び方が分からない。これが5年目の壁でした。

ちょうどその頃にいただいたのが「講話をしてください」という依頼でした。倫理法人会がどんな団体かも知らない。学びというものを一切やってこなかった人間です。

何をすればいいんですかと聞いたら、マジックショーをすればいいと言われて、本当に30分まるごとマジックショーをして帰ってきました。今思うと、なかなかのおバカさんですよね(笑)普通はみんなスピーチをする時間、ただマジックショーをしてたんですから。知らないというのは本当に怖い・・・。

そんな当日、2つだけ胸に残ったものがありました。

ひとつは、その日に歌った歌詞にあった「父母に涙ささげて」というフレーズ。両親とは仲がいいのに、高校を出てすぐ家を出たので、年に数回しか会っていないなあと思ったら、急に胸のあたりがじわ〜っときまして・・・。

もうひとつが『万人幸福の栞』の一文。「父を敬し母を愛する素直な子でなければ、大業は成し遂げられない。」

歌で胸が温かくなったところに、追い打ちをかけられた感じでした。この会、なんかいいかもしれないな、と。

数日後、家に2人の先輩が来られて「入会しませんか?」とおすすめいただきまして。イベント業界の先輩でしたから、先輩が言うならとりあえず入ります、と決めました。

入るときに、目標を3つ立てました。人に会う苦手意識を克服すること。人前で話せるようになること。あわよくば仕事につなげること。

今のコンプさんしか知らない人が聞くと笑われますが、当時は本気で困っていたことでした。人に会うのが苦手で、人前で身の上を話すのがどうにも苦手で。

講話④|昔の姿を教えてくれた、2つの言葉

倫理法人会に入る前がどんな人間だったか。昔のことって、都合よく上書きされていくんですよね。それを引っぱり出してくれた出来事が2つあります。

ひとつは、県の役員として、新しく立ち上がる富山市西倫理法人会の設立実行委員長を務めていたときのこと。毎週火曜の朝に通っていた1年間です。

飲み会でたまたま隣に座った会員さんが、「昔、うちの子の小学校にマジックショーに来てもらいましたよ」と。ありがとうございます、と返したところで続きが来ます。

「あのとき、もう二度とお願いしないでおこうと思ったんです」

理由はショーじゃありませんでした。楽屋で会ったときに、ものすごく不機嫌そうだった、と。

まったく心当たりがない——と言いたいところですが、じつは思い当たる節があったんですよね。

憧れの立川志の輔師匠が控室で放っている、あの堂々とした佇まい。その表面だけを勝手に真似して、プロたるもの堂々としていなければ!俺は本気でやっている人間なんだと、鎧を着込んでいた時期があったんです。

堂々としているつもりが、相手には不機嫌に映っていた(笑)

もうひとつは、二十歳になった娘のひと言。家族でお酒を飲んでいたら、突然「パパ、昔、机叩いとったね」。

まったく記憶になかったんですが、言われているうちに思い出しました。

帰ったら靴が揃っていない。部屋に入れば机の上が散らかっている。片付けてほしいならそう言えばいいのに、言わずにため込んで、机をダンと一発。完全にこっちの落ち度です。娘はちゃんと覚えていました。

靴が揃っていないと嫌だ、机は片付いていてほしい。それを黙って相手に押しつけようとした瞬間に、いろんなものがおかしくなっていく。

マジックショーの出来だけで次の仕事が決まるわけじゃないんです。ほんの一瞬の表情や、たったひと言まで、お客さまはちゃんと見ておられる。怖いですねぇ。

「もっと明るく」というテーマで話した高岡市倫理法人会での講話も、根っこは同じところにあります。

https://comp-office.com/lecture/takaoka-rinri-motto-akaruku-202605/

講話⑤|聞いているだけでは、何も変わらなかった

倫理法人会に入ってからは、いい話をたくさん聞きました。倫理に関する本もいろいろ読みました。そうだよなあ、なるほどなあ、という日が続きます。

ところが、それだけでは何ひとつ変わらなかったんですよ。

マジックで考えると、はっきりします。

上手い人の映像をどれだけ見ても、それだけでは1つもできるようになりません。見た瞬間は「なるほど、こうやるのか」と分かった気になる。でも実際にカードを持つと、落とす。拾って、また落とす。何百回とやって、やっと手が覚える。

学びもまったく同じでした。聞いて「いい話だなあ」で終わっているうちは、上手い人の映像を眺めているのと変わらない。

カードを持つところにあたるのが、実践です。

倫理法人会でいう実践は、大げさなものじゃありません。学んだことの中から、これならやれそうだというひとつを決めて、家庭なり職場なりで続けてみる。それだけです。

そして、ここが今日いちばん伝えたかったところなんですが。

心の受け取り方は、直接は選べません。でも、行動と習慣と、身を置く場所は選べる。

行動を変えると、目に入る景色が違ってきます。出会う人が入れ替わり、耳に届く言葉も変わってくる。すると、あとから受け取り方のほうが動きだす。

捉え方をいじりに行くんじゃなくて、まわりから外堀を埋めていく感じですね。次の3つは、まさにそれでした。

講話⑥|捉え方を磨いた3つの実践

じゃあ、実際に何をやってきたのか。振り返ると、思い当たることが3つありました。

実践 きっかけ 変わったこと
経営者モーニングセミナー当日、朝5時から準備に入る 当時の会長からの「5時から来てください」 会が誰の手で成り立っているかが見えた。ネクタイを締めない、という思い込みも外れた
毎週、両親に会いに行く 「父母に涙ささげて」と『万人幸福の栞』の一文 母のひと言でステージ前の葛藤が消え、ショーの質が変わった
高岡市倫理法人会の会長を3年間 倫理指導でいただいた「高岡は暗い、もっと明るく」 仕事がゼロになった時期を「注ぎ込める時期」と受け取れた。会員数も70社台から100社超へ

ひとつめ|朝5時から準備に入る

声をかけてくれたのが、その竹内さんでした。他の団体の飲み会で隣に座ったときに、「今度の経営者モーニングセミナーから朝5時の準備から来てください」と言われました。

竹内さんに言われると、なぜか「はい」と言ってしまうんですよね。言ったからには行かなきゃいけない、と次の週から5時に通いはじめました。

正直、最初は準備の人手が足りないんだろうな、くらいに思っていたんです。お手伝いに行きますわ、という気持ちで。完全な勘違いでした。

5時からの1時間でやっているのは、おもてなしの準備です。これから来られる方のことを思いながら、気持ちよく学んでいただける場をつくる。その中に朝礼もあります。

経営者モーニングセミナーに参加するだけだった頃は、誰がどんな人なのか、わかるようなわからないような感じでした。それが運営側に立った途端、声をかけてもらったり、ちょっとした瞬間に話をしたりする。

すると見えてくるんですよ。この人、なんて親切なんだろう。この人、気が利くなあ。こんなふうになりたいなあ、と。

朝礼で大きな声を出すのも、最初は「なんでこんなに声を出すんだ」と思っていました。あれ、まわりのためじゃないんですね。声を出す本人を変えるためなんです。

当時は、外で大きな声を出すのが恥ずかしかったんですよ。その恥ずかしさを抱えたままだから、人に会うのが苦手だ、人前で話せないと言っていたわけで。

そこをぶち壊すための1時間だと気づいたときは、誘っていただいて本当によかったなあと思いました。

それでも、どうしても破れない殻がひとつだけ残っていました。

芸人たるものネクタイは締めない。スーツは着ない。ジーンズとTシャツで通うと、勝手に決めていたんです。

誰にも「スーツを着てください」なんて言われていません。それなのに毎週通っているうちに、こっちが勝手に居心地の悪さを感じはじめる。このルール、なんか違うんじゃないか、と。

そのときに思い出したのが、立川志の春さんの本でした。

志の輔師匠の三番弟子です。イェール大学を出て三井物産で働いていた方が、何の気なしに聞いた師匠の落語に打ちのめされて、「この世界に行きたい」と弟子入りしてしまった。ちょっと変わった、というか、とんでもない行動力の方です(笑)

プロになりたての頃、志の春さんがメインで師匠についていた時期があって、よく話をさせてもらっていました。ちなみに一番弟子は、いま笑点に出ておられる立川晴の輔さんです。

その志の春さんが書かれた本が『自分を壊す勇気』。

タイトルを見た瞬間に、これだ、と思いましたね。

学歴も、会社の看板も、そこまで積み上げてきたものも、いったん全部置いて弟子入りする。怖くないはずがありません。捨てたら何も残らないんじゃないか、と。

でも、空っぽになったぶんだけ、師匠から入ってくるものがある。志の春さんの歩き方を近くで見ていて、そう感じていました。

そこで気づいたんです。勝手に決めたルールって、たいてい、こっちを守るためのルールなんですよね。

俺はここまでこうやってきた、だから俺はこうなんだ。その「こうなんだ」を握りしめている限り、新しいものは何ひとつ入ってきません。

ネクタイを締めない、スーツは着ない。あんなもの、守るほどのものじゃなかった。それを「個性」とか「オリジナリティ」とか、聞こえのいい言葉に置き換えて握りしめていただけです。

守っていたのは芸じゃなくて、こっちのちっぽけなプライドでした。

そこでスーツを買いに行きました。どうせ着るなら着こなせる大人になろうと思って、革靴も買って、磨くのまで好きになりました。

いいスーツを着てネクタイをきっちり締めていくと、気のせいか背筋が伸びるんですよ。形から入るって、あるんですねぇ。

参加する側から運営する側へ回って、握りしめていたものをひとつ捨てただけ。それだけで、人の見え方が変わり、声を出す恥ずかしさが消え、服への思い込みまで剥がれていきました。

靴磨きについては、エッセイにも書きました。新しいから輝くんじゃなくて、磨かれているから輝くという話です。

https://comp-office.com/essay/polished-leather-shoes/

ふたつめ|毎週、両親に会いに行く

経営者モーニングセミナーの帰りに実家へ寄る。これも続けました。

最初は両親も驚いていましたが、途中からは着くころにコーヒーが入っているようになりました。回を重ねるごとに、会話が濃くなっていくんですよ。よそよそしかったのが、だんだん中身のある話になる。

無口だと思っていた父が、じつはよく喋る人だと知ったのもこの頃です。子どもの頃の印象なんて、あてになりませんね。

そんな時期に、県外の大きな仕事が決まりました。当時は県外の仕事がほとんどなかったので、仲間からは「これで大きく羽ばたけるね」と言ってもらえた。

でも母から出てきたのは、これだけでした。

「道中、気をつけて」

毎週顔を出していなかったら、たぶん聞き流していた言葉です。何十回と会話を重ねていたから、そのひと言の奥にあるものまで届いた。

ステージに上がる前って、いつも心のなかで戦っているんです。今日はどういう場なんだろう。お客さまはどんな気持ちで座っているんだろう。お酒はどれくらい入っている。そもそも本当にステージを見たいんだろうか。

考えれば考えるほどモヤモヤして、そのまま舞台に上がっていく。それが当時の姿でした。

その日は違ったんです。頭の中には「母がここにいて、見ていてくれる」という言葉だけが浮かんでいた。

そのまま舞台に立ったら、本当にいいショーになりました。

会場も、お客さまも、演目も、条件は何ひとつ動いていません。違ったのは心ひとつ。それだけでショーの質まで変わったんだと思っています。

これも捉え方だよなあ、と思うわけです。

みっつめ|高岡市倫理法人会の会長を3年間

こちらは、この日の高岡市中央準とは別の会です。地元・高岡市倫理法人会という、すでに長く活動している単会の会長を3年間お受けしました。

会長を受けたら仕事も発展する、なんて言われていました。変わるチャンスだと思ってお受けしたら、直後にコロナ禍。仕事がゼロになりました。

それでも役員のみなさんが明るいんですよ。この人たちは明るいから好かれるんだろうなあ、なんて眺めていた頃のことです。

倫理法人会には「倫理指導」という仕組みがあります。会社や家庭の悩みを、経験を積んだ方に個別に相談できるもので、しかも何度でも無料。あれは本当にありがたい。

その倫理指導で、こう言われました。

「高岡は暗い。もっと明るく。もっともっと明るく」

その3年間は、この言葉だけを貫きました。

やってみて分かったのは、明るさって表面じゃないということです。声を張れば明るく見える。でもそれは見えているだけで、心の底から明るくならないと意味がない。

じゃあどうすれば明るくなれるのか。朝、目が覚めた瞬間に喜んで起きてみよう。役員会も明るくしよう。疲れた顔で集まって、いいアイデアが出るわけがないですからね。

そんな運営をしているうちに、コロナ禍で70社台まで下がっていた会員数が、いつのまにか100社を超えていました。役員も会員さんも一緒に動いてくれた結果です。

そしてコロナが明けたとき、なくなっていた仕事がわーっと戻ってきた。あの感覚を思い出すたびに、『万人幸福の栞』にある「たらいの水」の話が浮かびます。

たらいの水は、手前へ掻き寄せようとすると逃げていく。相手のほうへ押しやると、まわりまわって戻ってくる。

仕事が消えたことを、失ったものとして抱えたままでいることもできました。でもあのとき、いまは会の運営に全部を注げる時期をもらったんだ、というほうへ切り替わりました。

そのスイッチが、たらいの水だったのかもしれません。

あの時期のことは、エッセイにも残しています。

https://comp-office.com/essay/when-one-door-closes/

講話⑦|落ち込まなかったことに、いちばん驚いた

ここまでが実践の話。では、それで本当に捉え方が変わったと言えるのか。

はっきり分かる出来事が2つあります。

以前、イリュージョンを積むために大きな車が要ってハイエースを買いました。その3日後、下まわりを乗り上げてガツンとへこませたんです。

あのときは相当こたえました。もうモヤモヤして、何をしていても頭から離れない。ずっとそのことが引っかかっている。そんな人間だったんですよ。

ところが先日、買ったばかりのMacBookの画面を割りました。

まったく落ち込まなかったんです。

それどころか、割れたってことは何か意味があるよな、と思っている。

じつは仕事でAI関連のことをいろいろやっていて、古いパソコンから新しいほうへ環境をまるごと移すのが怖くて、ずっと先延ばしにしていたんです。画面が割れたおかげで、やらざるを得なくなりました。

これ、いまやれってことじゃないか。そう思って手を動かしたら、学びがあるわあるわ。

同じ人間が、同じ「壊した」という出来事に対して、真逆の反応をしている。落ち込まなかったことに、いちばん驚きました。

講話⑧|それで、捉え方は変えられるのか

答えです。

捉え方は、意思の力では直接コントロールできません。これは今もそう思っています。人の捉え方を毎日いじって生きている人間だからこそ、そう言い切れます。

でも、まわり道からなら変えられる。

やってきたことを並べてみると、朝5時に行って準備をする。靴を磨く。両親に会いに行く。ニコニコしている。それだけです。

どれも「捉え方を変えよう」と思ってやったことじゃありません。心には一度も手をつけていない。触ったのは、目の前の行動だけです。

それなのに、気づいたら中身のほうが入れ替わっていました。

買ったばかりの車をぶつけて何日も引きずっていた人間が、パソコンを割っても「これはチャンスだ」と笑っている。誰かに諭されて一晩で変わったわけでも、本を一冊読んで悟ったわけでもありません。実践を、ただ続けただけです。

心を変えようとしなくていい。行動を変えれば、心はあとからついてきます。

だから、明るくなれない日があっても、責めなくていいんです。前を向けないのは意思が弱いからじゃない。心というのは、そもそも命令を聞いてくれないものなので。

そのかわり、明日いつもより30分早く起きるとか、玄関の靴をそろえるとか、しばらく連絡していない親に電話をするとか。それくらいなら、できますよね。

大きいものは動かせなくても、小さいものなら今日から動かせる。

その積み重ねが、あとになって驚くような変化になって返ってきます。少なくともここに、18年かけてそうなった人間が1人います。

10月16日へ向かっている高岡市中央準倫理法人会のみんながやっていることも、たぶん同じです。朝5時に集まって、机を並べる。その1回1回が、開設の日を越えたあとの景色をつくっていく。

そんな話を、朝の1時間でさせていただきました。

集合写真と朝食会|「高岡の中心から高岡を元気に!」

閉会後は全員で集合写真。掛け声は「高岡の中心から高岡を元気に!」でした。

高岡古城公園のまんなかにある射水神社から、高岡を元気に。場所と言葉がぴたりと重なって、声を出しているこっちまで元気になりました。

高岡市中央準倫理法人会 第2回プレ経営者モーニングセミナーの参加者全員による集合写真。掛け声は「高岡の中心から高岡を元気に」

そのあとは朝食会。お弁当を囲みながらの感想シェア会で、いろんなご感想をいただきました。

朝食会の感想シェア会でマイクを持って話す参加者

講話って、しゃべって終わりじゃないんですよね。この時間があって、やっと完成する気がします。

同じ話を聞いても、返ってくる言葉は一人ひとり違う。その違いこそが「捉え方」なんだよなあ。

朝食会で経営者モーニングセミナーの感想を述べる参加者
朝食会の感想シェア会で進行役とともに話す参加者

そしてこの日、あらたに入会してくださった方がいました。うれしいなぁ!!

笑顔で並ぶ高岡市中央準倫理法人会の瀧根康弘 会長と梅島清香 副会長

プレ経営者モーニングセミナー全3回のご案内はこちらにまとめてあります。

https://comp-office.com/lecture/takaoka-chuo-jun-rinri-pre-seminar-2026/

よくある質問

高岡市中央準倫理法人会のプレ経営者モーニングセミナーは誰でも参加できますか?

はい、会員でなくても無料でご参加いただけます。経営者でなくても大丈夫です。朝6:00〜7:00の1時間で、終了後の朝食会は1,000円(お茶のみは100円)でした。

次回のプレ経営者モーニングセミナーはいつ、誰が講師ですか?

第3回は9月21日(月)、講師は高岡の鋳物メーカー・株式会社能作の代表取締役社長、能作千春さん(高岡市倫理法人会 会員)です。テーマは「つなぐ、伝統と革新」。これは楽しみです。

高岡市中央準倫理法人会はいつ開設しますか?

70社そろい次第、10月16日(金)に準倫理法人会としての開設式典、10月19日(月)に第1回経営者モーニングセミナーを予定しています。開設後の経営者モーニングセミナーは毎週月曜の朝です。

倫理法人会の経営者モーニングセミナーは何をするところですか?

毎週早朝に開かれる、参加無料の勉強会です。経営や仕事、家庭をテーマに、講師の実話から学びを深めます。会員以外の方も参加でき、富山県内では各地域の会(単会と呼びます)がそれぞれの曜日に開催しています。

講話やマジックショーの依頼はできますか?

はい、承っております。富山県を中心に、企業のパーティー、学童・保育園、周年行事、講演までお受けしています。内容や時間、ご予算に合わせて構成しますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

朝5時、参加者が来る前の会場に集まって机を並べる。講話でしゃべっていたその1時間が、まさにこの日の朝も目の前で流れていました。

話している中身が、そのまま会場の風景になっている。こんなにやりやすい講話はありません(笑)

10月16日の開設まで、あと2か月。富山県で9つめの会が、ここ高岡に立ち上がります。

まずは「準」倫理法人会として。そして100社に届いた日に「準」が取れて、正式な単会になります。

70社まで、あと少し。もう手が届くところまで来ました。

この朝の掛け声は「高岡の中心から高岡を元気に!」でした。あれは目標というより、宣言だと思っています。

高岡の中心にこの会が立って、そこに集まった経営者が一人ずつ実践を重ねていく。その積み重ねが会社を変えて、家庭を変えて、地域を変えていく。捉え方の話とまったく同じで、いきなり高岡は動かせないけれど、目の前のことなら今日から動かせます。

経営者が集まって学び合うその場所が、10月16日、高岡の真ん中に開きます。

朝早くから集まってくださった皆さま、ありがとうございました!!

👉 関連記事はこちら

\ 最新情報をチェック /